平成22年10月4日
気候変動適応戦略イニシアチブ 気候変動適応研究推進プログラム SALSA第1回会合
大気環境物質のためのシームレス同化システム構築とその応用
Development of Seamless Chemical AssimiLation System and its Application for Atmospheric Environmental Materials (Project SALSA)

影響評価と適応策の構築班(第3班)
高見昭憲、上田佳代(NIES)、木暮一啓、横張 真、渡辺知保(東大)、村上暁信(筑波大)、
樋口篤志(千葉大)、石井康一郎(東京都)、増冨祐司(埼玉県)、河宮未知生(JAMSTEC)

Japanese/English

目次


  1. 影響評価と適応策の構築
  2. 健康影響評価(申請書より)
  3. 健康影響
  4. インパクトファクターの計算
  5. インパクトファクターの例
  6. ハザードマップの作成例1
  7. ハザードマップの作成例2
  8. 適応策の検討
  9. 都市緑化と土地利用計画
  10. 都市緑化の効果的な配置
  11. 都市緑化による適応策の検討1
  12. 都市緑化による適応策の検討2
  13. 自治体との連携

1.影響評価と適応策の構築


  • 第1班と第2班のモデル結果を利用し、地方自治体の担当部署と連携して、温暖化や大気汚染の深刻化に伴う影響評価と、それに対する適応策につなげる実施モデルを構築する。
  • 観測から求められる関東地域の気温分布、大気汚染物質の濃度分布を用いて疫学調査を行い、因果関係を把握して、健康影響を定量的に示すための研究開発を実施する。その上で、データ同化技術を用いて作成される関東地域の気温分布、大気汚染物質の濃度分布と健康影響の結果を用いて、関東域における健康被害予測図を作成する。同様に、関東地域での気温分布と土地利用情報との因果関係を把握し、定量的に表す。その結果を自治体関係者に対して、気温や大気汚染物質に関する対策(適応策)の検討に役立つ情報として提供する。
  • この取組においては、東京都、埼玉県などとの連携体制を確立するため、自治体の機関に所属する研究者も参加する定期的協議会を実施し、この協議会での検討を通じて、各自治体が必要としているニーズ・情報を収集しモデル開発に反映させる。

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2.健康影響評価(申請書より) 


  大気環境の健康影響には地域差が存在することが示唆されている。第1班、第2班による同化システムの結果を活用し、高分解能の関東地域における気温の分布、大気汚染物質の濃度分布を作成し、都市域に特徴的なヒトのモビリティー(移動)を考慮した曝露量と健康影響指標の関連を、疫学的手法を用いて明らかにする。すなわち、大気環境の急性影響を評価するために必要な大気環境データ、健康影響データ(死亡、疾患発症等)の収集、およびそれらのデータを結合したデータベースを構築する。これらデータベースを基に、統合的な健康インパクトファクター(Health Impact Factor、HIF)の構築を目指す。ここでいうHIFとは気温、オゾンや粒子状物質濃度、それらの曝露時間などを因子とした、曝露量−健康影響関数を考えている。

  同化システムの結果のモデルケースにおける気象条件、日射量、大気環境物質量を用いてこのHIFの分布を求め、健康ハザードマップ(Health Hazard Map、HHM)を作成する。

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3.健康影響 


  • インパクトファクターの計算
  • ハザードマップの作成
  • 適応策の検討


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4.インパクトファクターの計算


    気象(気温、湿度)および大気汚染物質(オゾン等)の急性影響を調査

    地域、脆弱集団を考慮した疾患(死亡)の超過リスクを関数であらわす 超過リスク= f(温度, 湿度, PM2.5, Ox, NO2...)

    疾患(死亡)の超過リスク(excess risk for death (disease))とは、 環境曝露によりどの程度集団のリスクが変化するかの指標です。

    適応策の作成を考慮し、影響を受けやすい集団(たとえば、高齢者、小児、基礎疾患のある者)を同定して、その集団に対する施策を集中させるために、集団を層別化し、それぞれについての健康影響関数を作成することを考えています。

     

    健康影響関数を作成するためには、過去の研究結果を用いる方法と、疫学調査を実施して、その結果を用いる方法があります。健康影響班では救急搬送データと環境データを用いて、「気温や大気汚染が救急搬送数に及ぼす影響」調査を行います。

     

    「気温や大気汚染が救急搬送数に及ぼす影響」調査についての詳しい説明



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5.インパクトファクターの例




  環境省 地球環境研究総合推進費 戦略的研究開発プロジェクト 「S−4 温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための 温暖化影響の総合的評価に関する研究」より


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6.ハザードマップの作成例1



    • 大気汚染リスク
      温暖化による気象変化で、Ox 濃度の上昇とこれにともなう死亡の増加が見込まれる。ただし、増大するOx の越境汚染より影響は小さい。



  環境省 地球環境研究総合推進費 戦略的研究開発プロジェクト 「S−4 温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための 温暖化影響の総合的評価に関する研究」より


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7.ハザードマップの作成例2


  • 大気汚染リスク
    温暖化による気象変化で、Ox 濃度の上昇とこれにともなう死亡の増加が見込まれる。ただし、増大するOx の越境汚染より影響は小さい。

  環境省 地球環境研究総合推進費 戦略的研究開発プロジェクト 「S−4 温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための 温暖化影響の総合的評価に関する研究」より


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8.適応策の検討



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9.都市緑化と土地利用計画



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10.都市緑化の効果的な配置


      観測あるいはモデル計算から得られる関東域の気温分布に基づき、効果的な都市の緑化を検討
図7.様々な気象条件での同化解析結果と、影響モデルを利用してメガシティー域における適応策を構築する。

  都市周辺でのグリーンベルトと多数の小さな緑化地区の配置を検討
  モデルの再計算による効果検証

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11.都市緑化による適応策の検討1


      ある地域を例として、都市緑化による適応策を検討。
      ビル屋上の緑化などきめ細かい適応策を検討する。


  40cm程度の解像度でのシミュレーションにより、土地や建物の緑化を通して効果的な適応策を検討する。

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12.都市緑化による適応策の検討2


      自治体関係者と効果的な適応策を協議する。


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13.自治体との連携



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